中小企業のLINE公式アカウントをAIで自動化する方法|応答メッセージとAIチャットボットの使い分け

「LINEの問い合わせ対応に、毎日30分取られている」。中小企業や個人事業主の方から、よく聞く悩みです。営業時間や定休日、駐車場の有無。同じ質問に、何度も手で答えている。この対応をAIに任せられる仕組みが、2025年11月にLINE公式アカウントの有料オプションとして追加されました。ただし従来からある「応答メッセージ」とは別物で、料金も条件も違います。この記事では公式マニュアルをもとに、2つの違いと使い分け、実際にかかる費用を整理します。
この記事の要点
- LINE公式アカウントの自動応答は「応答メッセージ」(無料)と「AIチャットボット(β)」(有料)の2層に分かれている
- キーワード応答は「完全一致」でしか反応しない。表記ゆれに対応できないことが、自動化が失敗する最大の原因
- AIチャットボット(β)はチャットProオプション(月額3,000円・税別)の契約が必要で、生成AIがQ&Aから回答を選んで返信する
- PDFや画像をアップロードすると、AIがQ&Aを自動生成する。自動作成は30回まで、参照ファイルは1回あたり最大10個
- 「AI機能での情報利用」をオンにしていないユーザーには返信されず、グループトークでも動作しない
LINE公式アカウントの自動応答は、いま何が使えますか?
2026年9月時点で、LINE公式アカウントの自動応答は大きく2つあります。仕組みも料金もまったく違うので、最初に切り分けておくと迷いません。
| 機能 | 反応のしかた | 追加費用 |
|---|---|---|
| 応答メッセージ | 一律応答(すべてに同じ返信)またはキーワード応答(完全一致) | なし |
| AIチャットボット(β) | 生成AIが内容を判別し、登録したQ&Aから回答を選ぶ | チャットProオプション 月額3,000円(税別) |
多くの解説記事は、この2つをまとめて「LINEの自動応答」と呼んでいます。ただ、実務で効いてくる差はかなり大きいです。前者は言葉が1文字違えば黙ってしまい、後者は言い回しが違っても意味を汲みます。
なぜキーワード応答だけでは自動化が失敗するのですか?
キーワード応答が「完全一致」でしか動かないからです。LINEヤフーの公式マニュアルには「設定したキーワードと完全一致するメッセージを受信したときに応答メッセージが送信されます」と明記されています。
これが実務でどう効くか。「営業時間」というキーワードを登録したとします。
- 「営業時間」→ 返信される
- 「営業時間は?」→ 返信されない
- 「営業時間を教えてください」→ 返信されない
- 「今日って何時までやってますか」→ 返信されない
実際にお客様が送ってくるのは、3つ目や4つ目の形です。キーワードだけを登録して「自動化した」と思っていると、返信されないまま放置される問い合わせが積み上がります。
対策としてキーワードを増やす方法はあります。1つの応答メッセージに設定できるキーワードは上限51個です。ただ、日本語の言い回しを51個で網羅するのは、正直かなり厳しいと思います。ここがAIチャットボット(β)の出番になります。
AIチャットボット(β)は何ができる機能ですか?
生成AIがチャットの内容を判別し、事前に登録したQ&Aの中から最適な回答を自動で返信する機能です。2025年11月にLINE公式アカウントの有料オプションへ追加されました。回答はOpenAIのAPIを使って選ばれます。
重要なのは、AIが自由に文章を作るのではなく、登録したQ&Aの範囲で答えるという設計です。事実と違う回答を勝手に生成されるリスクを抑えられます。中小企業が使ううえでは、この「勝手に喋らない」設計はむしろ安心材料だと感じています。
Q&Aの登録方法は3つ用意されています。
- 個別作成:1件ずつ作成する。「お問い合わせ」「一般会話」のテンプレートが使える
- 複数作成:CSVファイル(UTF-8またはShift-JIS)で一括登録する
- 自動作成:PDFや画像をアップロードすると、AIが解析してQ&Aを自動生成する
3つ目が、いちばん手間を減らせる方法です。既存の会社案内やメニュー表、料金表のPDFをそのまま読ませれば、Q&Aの下書きができます。ウェブサイトをPDFや画像として保存してアップロードすることもできます。
自動生成には上限があります。自動作成は30回まで、参照用ファイル(PDF)と参照用画像(JPEG・PNG)はそれぞれ最大10個まで、1ファイル30MB以下です。生成されたQ&Aは管理画面で編集でき、選んだものだけを有効にできます。
自動化にかかる費用はいくらですか?
AIチャットボット(β)を使う場合、月額3,000円(税別)のチャットProオプションが必要です。これに基本プランの料金が加わります。
| プラン | 月額固定費(税別) | 無料メッセージ通数 | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーション | 0円 | 200通 | 不可 |
| ライト | 5,000円 | 5,000通 | 不可 |
| スタンダード | 15,000円 | 30,000通 | 可(従量課金) |
スタンダードプランの追加メッセージは、最初の50,000通が1通3円、次の50,000通が2.8円、100,000通超で2.6円と、配信数に応じて単価が下がります。
問い合わせ対応の自動化だけが目的なら、最安はコミュニケーションプラン(0円)+チャットProオプションで月3,000円(税別)です。一斉配信も使うならライトプランを足して月8,000円(税別)になります。
導入はどんな手順で進めますか?
管理画面の設定自体は、1日あれば終わります。詰まるとしたらQ&Aの中身です。
- 手順1:LINE公式アカウントを開設し、チャットProオプションを契約する
- 手順2:よくある質問を洗い出す。過去のトーク履歴を10件ほど遡ると、実際に聞かれている言葉が拾えます
- 手順3:会社案内・料金表・メニューのPDFをアップロードし、Q&Aを自動生成する。生成された内容は必ず目で確認して修正する
- 手順4:該当する回答がないときに返す「システムメッセージ」を設定する。「担当者が確認して折り返します」など、次の行動が分かる文言にします
- 手順5:応答設定で組み合わせを選ぶ。応答時間内は「手動チャット+AIチャットボット(β)」、応答時間外は「応答メッセージ+AIチャットボット(β)」といった指定ができます
設定はWeb版の管理画面(PC)からのみ可能です。スマートフォンの管理アプリだけでは完結しないので、パソコンの前で作業してください。
導入前に知っておくべき制限は何ですか?
βという名前のとおり、いくつか制約があります。契約前に確認しておきたいのは次の5点です。
- 返信されない相手がいる:「LINE公式アカウントAI機能での情報利用」をオンにしているユーザーにだけ自動返信されます。オフのユーザーには届きません
- グループトークでは動かない:グループトーク内のメッセージには返信されません
- 答えられない質問がある:該当する回答がない場合は、管理画面で設定したシステムメッセージが返ります。ここを空欄のままにすると、印象の悪い体験になります
- 提供対象外の業種がある:LINEヤフーが対象外と判断した業種・アカウントには提供されません
- トークルームに表示が出る:AIチャットボット(β)を含む設定にしている間、アカウント名の下に「AIが自動で返信しています」と表示されます
最後の1点は、隠さずAIだと伝わるという意味で、むしろ健全だと思います。ただ「人が対応している」という体験を大事にしたい業種では、判断が分かれるかもしれません。
外部ツールはどんなときに必要になりますか?
LINE公式アカウントの標準機能で足りるのは、「よくある質問に答える」までです。それを超える自動化をしたい場合に、Lステップやエルメといった外部ツールの出番になります。
具体的には、次のようなことは標準機能ではできません。
- 友だちの回答内容に応じてタグを付け、条件に合う人だけに配信する(セグメント配信)
- 何日目にどのメッセージを送るかを組んだステップ配信
- 予約フォームや診断コンテンツと連携し、回答内容を顧客情報として蓄積する
順番としては、まず標準のAIチャットボット(β)で問い合わせ対応を自動化し、配信で成果を出したくなった段階で外部ツールを検討する。この流れが無駄がありません。最初から多機能なツールを契約して、設定しきれずに月額だけ払い続けているケースを何度か見てきました。
サイト側の問い合わせもあわせて減らしたい場合は、自社サイトにAIチャットボットを埋め込む方法【無料ツール比較・設置手順】とチャットボット導入費用の相場【2026年版】|月額・初期費用を種類別に比較もあわせてご覧ください。
どんな会社に向いていますか?
向いている会社
- 営業時間・料金・アクセスなど、同じ質問を繰り返し受けている
- 会社案内や料金表のPDFがすでにある(Q&Aの自動生成にそのまま使えます)
- 営業時間外の問い合わせを取りこぼしている実感がある
- 月3,000円(税別)の追加コストで、対応時間を減らしたい
向いていない会社
- 問い合わせの内容が一件ごとに違い、定型化できない
- 個別見積や専門的な相談が中心で、誤った自動回答のリスクを避けたい
- LINEの友だち数がまだ少なく、そもそも問い合わせが来ていない
- 標準機能では足りず、最初からセグメント配信やステップ配信を組みたい
よくある質問
Q. 無料プランのままでもAIチャットボット(β)は使えますか?
基本プランがコミュニケーションプラン(月額0円)でも、チャットProオプション(月額3,000円・税別)を契約すれば利用できます。基本プランの料金とオプション料金は別々なので、配信をあまりしないなら月3,000円(税別)の構成が最安になります。
Q. 応答メッセージとAIチャットボット(β)は併用できますか?
できます。応答設定で「手動チャット+応答メッセージ+AIチャットボット(β)」や、応答時間外に「応答メッセージ+AIチャットボット(β)」といった組み合わせを選べます。確実に同じ文面を返したい質問は応答メッセージ、言い回しがばらつく質問はAIチャットボットに任せる、という分担が現実的です。
Q. AIが間違った回答をしませんか?
AIチャットボット(β)は、事前に登録したQ&Aの中から回答を選ぶ仕組みです。登録していない内容を勝手に作って答えることは想定されていません。該当する回答がない場合は、設定したシステムメッセージが返ります。ただしQ&Aの内容自体が古いと古い情報が返るので、料金改定などのタイミングで見直しは必要です。
Q. Q&Aは何件くらい用意すればいいですか?
件数の正解はありませんが、実際に届いたトークを遡り、繰り返されている質問を10〜20件ほど拾うところから始めるのが現実的です。PDFからの自動生成を使えば下書きは短時間で作れます。運用しながら、答えられなかった質問を足していく形が続けやすいです。
まとめ:まず「完全一致の壁」を越えることから
LINE公式アカウントの自動化でつまずく原因の多くは、キーワード応答の完全一致という仕様にあります。ここを越えるために、2025年11月からAIチャットボット(β)が使えるようになりました。必要なのはチャットProオプションの月額3,000円(税別)だけで、Q&AはPDFから自動生成できます。セグメント配信やステップ配信まで踏み込むなら外部ツールが必要ですが、標準機能で始めて必要になったら広げる順番が、費用の面でも運用の面でも無理がありません。
Webloomでは、ホームページ制作(制作費0円・月額9,900円〜)とあわせて、LINE構築による自動化・セグメント配信の支援も行っています。「標準機能で足りるのか、ツールが要るのか」の切り分けからご相談いただけますので、お問い合わせからお気軽にお声がけください。神奈川県藤沢市を拠点に、全国対応しています。
Lステップを使っている場合のAI連携の手順は、Lステップ×AI連携の作り方|ChatGPTで問い合わせを自動応答にする手順と費用で詳しく解説しています。
出典
- LINEヤフー for Business「『LINE公式アカウント』の有料オプションに 生成AIを活用した新機能『AIチャットボット(β)』を追加」(参照日: 2026-09-08)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント マニュアル|AIチャットボット(β)」(参照日: 2026-09-08)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント マニュアル|応答メッセージ」(参照日: 2026-09-08)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント マニュアル|応答設定」(参照日: 2026-09-08)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(参照日: 2026-09-08)
※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいています。AIチャットボット(β)はベータ版のため、機能・条件が変更される場合があります。料金や仕様は申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
